漫画と北国とわたし

ゴールデンカムイの考察だの感想だの聖地巡礼だのをつれづれと。本誌ネタバレ含みます。(他作品語るブログはじめました→ https://mochimochihq.hateblo.jp/ )

【本誌ネタバレ】229話、230話感想

二週間分まとめて本誌感想です。なんでって…つらいからですね!!!


適当あらすじ

家永さんは完璧になりたかった。


…読んでください。

 

家永さんてなんか最初からやばいけどすごく笑える感じで登場したんですけど、(「シライシウシロー」とか)
いつもぶれずに元気でいてくれて、脳みそを食べたり若い血を入手しながらも活き活きしてて、最初は殺人シーンで登場したのに、最後は人を守るシーンで死んでいったというところがなんか…泣いていい?
家永さんについて網走以降は本当に色んな人を治した記憶しかなくて、杉元も多分谷垣も鯉登少尉も家永さんに治してもらってるんですよね。
家永さんが殺した人数分とまではいかなくても同じだけ人を救っていたらいいなぁと思いましたし、
谷垣とインカラマッの子どもを助けたならそれはその後未来につながる子孫たちのことも救ったってことで、家永さんの役目は人を殺して得た知識の分人を救うってことだったのかなとか…泣いていい?

 

家永さんは「完璧だった母」に近づきたかったと言っていて、子どもを産む母親は完璧だというある種の女性信仰みたいなものの元に色んなことをやっていたことが先週明らかになりました。
で、今週印象深いのが「私のように利己的な凶悪犯がどうしてって顔ね…」という家永さんの台詞なんですが、
ゴールデンカムイって登場する男たちほぼほぼ異常者ばっかりなんですけども(失礼か)、その異常者もみんな各々なりの「流儀」というか「思想」があって、それはもちろん世間の普通とはかけ離れているわけですが、その流儀を貫いて死んでいく人ばっかりで、そこがすっごくかっこいいというか魅力的だし煌めいてる(cv辺見ちゃん)と思うのです。
家永さんも同じで、家永さんは完璧な母親への果てしない憧れによって動いていたので、その流儀の元に命を燃やした、みたいな…泣いていい?(3回目)

 

今週号の扉絵の話しますね。
扉絵、撃たれた血がおなかの横の床に溜まってまるで妊婦さんみたいに見えるんです。
で、頭の周りにもまた血で輪ができていて、まるで聖母マリアの光輪みたいなんです。
アオリは「貴方の完璧はきっと現在、この瞬間」なんです。

家永さんは6巻で牛山さんに「あなたの完璧はいつだった?」って聞いてたじゃないですか。

異常殺人鬼だった男がいくら人を殺して食べてもなれなかった「完璧」に、妊婦さんを助けて自分の命を失う最期の最期でなれた。

そんなの救い以外の何物でもないじゃんみたいな…もう泣きますね。

 

とにかく、家永さん、魅力的で大好きだったので割とガチへこみしています。


…話変えましょ!!

 

鯉登少尉!!
彼はもう、鶴見さんの人形ではなくなりましたね。
彼はまだ迷っていて、下唇を噛み締めて谷垣とマッちゃんを逃がすわけですが、その迷いの表情が実に人間らしい。
鯉登少尉が迷っているのは自分で考えるようになったからなんだろうと思います。
「ボンボンが」の一件以来、自分の中の信じてきた者への失望とか自分の内に抱えた矛盾と戦っているわけで、それがこの表情なんだなと。
やっぱり樺太の旅で少尉の見える世界が広がったのかしらなんて。自分で考え、行動するようになったななんて。鯉登パパの思惑通りですね。
きっと素晴らしい指揮官になるはず!!!

 

その人間らしい鯉登少尉との対比で、鶴見さんの人形である月島軍曹のことは人形ってかターミネーターとして描いているところがまたすごいです。
月島軍曹はもう何もかもをあきらめてしまっているのでいくら世界を見ても仕方がないというか、いご草ちゃん以外のことで感情を爆発させることはないと野田先生も言ってましたし…かなしいですね。
軍曹もちゃんと救われてほしい。

軍曹、今後フチの家でマッちゃんの出産を見て、命の尊さを感じたりしてくれないかな。
軍曹もお母さんから生まれたんだよ~命がけで産んでもらったんだよ~尊いんだよ~きづいて~みたいな気持ちでいます今(何目線だよ)


あと稲妻強盗とお銀の子ども大きくなっててかわいいですね。おすわりしとる。かわいい。
フチはあれかな、稲妻の形見のベストをなんかいい感じに服にしてくれようとしてるのかな。


にしてもチセの絵ってなんかすっごく温まる感じがしますね。
あったかそう~みたいな。安心感みたいな。植物でできてるからかな?


という感じで。
生と死のコントラストがすばらしいし家永さん…って感じ…


おわります。