漫画と北国とわたし

ゴールデンカムイの考察だの感想だの聖地巡礼だのをつれづれと。本誌ネタバレ含みます。(他作品語るブログはじめました→ https://mochimochihq.hateblo.jp/ )

【本誌ネタバレ】228話感想

本誌感想です。

 

時重くん回想もひと段落、今回は杉元一行のお話、というか杉元のお話…

あらすじはもうね、読んでください!!
簡単に言うと

 

at空知川

シマエナガ(ウパシチリ。命名:ウパシちゃん)と出会う

杉元霧の中ではぐれる

アシリパさんから教わった知識で生き延びる杉元

ずっとシマエナガ(ウパシちゃん)に話しかけてる杉元

かれこれ一週間

杉元「絶対にふたりで生きてこの山から脱出しよう」

杉元「ふいいいいい~~~~ごめんなさいごめんなさい」(ブチブチブチブチ)

杉元「京都に行った時に食べたスズメの焼鳥を思い出すなぁ」

杉元「いただきまぁす!!」アシリパさん「杉元~」

杉元「うおぉぉぉぉぉぉぉ」

次号予告「ウパシは死んで杉元を暖めた。生きた価値は消えたりしない」

 


…はい!!!
何があったかは察してください。

いやもう、なんていうかめちゃめちゃ笑えたんで…いや、かわいくてかわいそうだけど、、でもほら、リスとかウサギも食べられたわけですし、いやでも一週間一緒にいた子を食べるってね…いやでもほら熊おくりとかもそうじゃないですか…でも、いや、でも…でも…
…前にもどれかの記事で言いましたが杉元って感覚が現代風だから、かわいい生き物を食べることに凹むしましてや一週間連れ添ったかわいい小鳥を…って相当だと思いますし、
その杉元の現代風の感情が読者にも伝わるっていう描かれ方をしていて、なんというか杉元って本当に素晴らしい主人公なんですけど…
でもね、山の中ではなんでも食べないと生きられないですものね!!!


さてさて、今回は何の話でどう今後につながるのかな~とちょっと考えてみました。
今回のテーマはですね、杉元ですね!!(そりゃあな)

今回は「杉元が~一週間初めて~山で一人で生きた~」の回だったわけですよね。
つまり今まで彼はアシリパさんに言われてやっていたことを、今回はすべて自分の意志で、自分が動いて北海道の山を生き抜いたんですよ。
「全部アシリパさんから教わったこと」をフル活用して。
これってすごいことじゃないですか?

杉元って都会っ子な雰囲気あるじゃないですか。東京のエビフライに続いて京都の焼き鳥ですよ?いつ食べたのよ?!みたいな。
都会育ちじゃないにしても(というか杉元の故郷は都会な感じはしないですけども)少なくとも都会の良い生活を知ってるということと、根の素直さ、アシリパさんや鶴見中尉や土方さんとは違ったベクトルのあらゆる”経験”が作品の中で杉元を”現代的な感覚を持った主人公”にしてると思うんです。
そんな彼が!山で暮らすことの厳しさを身をもって体感したってすごいことじゃないですか?(二回目)


そして、今回は梅ちゃんと寅次のことを思うシーンがあるんですけど、それに加えて最後には一週間連れ添った仲間を食べても「生きる」という杉元の強い生への意志が見れたんです。
杉元が金塊を探す動機は過去にあるんですが、その動機である過去の話の後に、主人公の未来への渇望が見られて非常に素晴らしいです。

杉元、山で生きてるうちに”生きる”ことを学んでいるんだなというか…アシリパさんに教わっているんだなって。
すごい泣ける。
…それを衝撃的ラストと共にコミカルに描く野田先生がすごいです。


更にそんな今回、どう今後につながるのかなと考えたら、物語の最後に繋がってくる可能性があるなぁと思いました。
金塊レースが終わった後、杉元はどうするのかっていう話です。

今までわたし的にはアシリパさんと旅を続けるエンドが濃厚だと思っておりましたが、
今回で”杉元が山で暮らすエンド”もあるなぁと思いました。(もの〇け姫の男女逆バージョン)
杉元は帰る場所を自分で燃やしてしまっているので、その意味ではこの旅は杉元にとっては物語の形式の王道である「行きて帰りし物語※」ではなくなっています。
でも杉元にも帰る場所が必要……じゃあどこかな。山かな。みたいな。
ゴールデンカムイの始まりのシーンは山でしたし。
また山でなんかやってる杉元のシーンで終わるのであれば、それはそれで杉元にとっても作品全体にとっても「行きて帰りし物語」になるのかな…などと思っております。

あと特定の場所に帰るのではなくて、”自分を取り戻す”というのも「行きて帰りし物語」になるので、杉元は戦争前の自分を取り戻していっている最中なのだなと思った次第です。

 


偉そうにつらつら言ってますが、ゴールデンカムイ終わってほしくはないですね!!ずっと見ていたい!!!
こんなに色々考えちゃう楽しい作品はじめて!!!


おわります!!

 

 

行きて帰りし物語=「どこかへ旅をして最後には戻ってくる」という物語類型。主に児童文学に用いられる王道の形式です。ここではゴールデンカムイの今後を予想する視点の一つとしてこのワードを使ってみました。

…キロちゃんも故郷の川にとけていきましたね。彼にとっての旅は正に「行きて帰りし物語」だったと思うと、泣けてきます。

 

…画面見えないのでほんとにおわりますね…