漫画と北国とわたし

ゴールデンカムイの考察だの感想だの聖地巡礼だのをつれづれと。本誌ネタバレ含みます。

【本誌ネタバレ含】鯉登音之進という男vol.2~自顕流について

鯉登少尉について語る第二弾です。
今回は音之進が会得している薩摩の自顕流について、彼が会得してるのはこんな剣法ですよ~というお話。
筆者に音之進語らせたらかっこいいかわいいしか言わなくなるのでね、少しでも内容のあるブログにするためにはもうこれしか…!


10巻で尾形に「自顕流を使うぞ!」ってばらされた音之進。
自顕流は、近藤勇をして初太刀は外せって言われてたとんでもない流派と紹介されています。
ものすごい気迫で杉元に斬りかかったところ、なにこの人怖いと思いましたよね。思いました。かっこよかった。
あの気迫には理由があるのです!


ここから音之進関係ない剣術語りなので飛ばしやすいようにキリトリ線つけときますね。

ーーーーーーキリトリーーーーーーーーー

よくじげんりゅうと聞くと示現流(東郷示現流)がでてきますね。
でも、わたしたちのよく知る薩摩の剣法はほとんど鯉登少尉の野太刀(薬丸)自顕流のことなのだそうです。
自顕流は主に幕末に名を馳せた剣法なんですが、幕末の人斬り半次郎も、生麦事件で外国人を切ったのも、西郷従道西郷どんの弟)も、みんな自顕流の使い手です。

自顕流と示現流は成り立ちも、会得していた人の階級も違います。
自顕流は、どちらかと言うと郷士と呼ばれる下級武士の剣法で成り立ちは古く、平安期からひっそり伝えられていましたものです。
示現流は城下剣法で、薩摩藩公認の藩外不出の御留流。つまり身分の高い人の憲法で、江戸時代に完成されたものです。

色々違うのにごっちゃにされてるのには理由があって、示現流は元々自顕流と名乗っていて、自顕流は元々は野太刀流と名乗っていたそうです。でも示現流示現流に改名したので、野太刀流が自顕流って改名したとかなんとか。ややこしい。
あとは江戸時代の一時期、自顕流の者が示現流の門弟になったりと…
両者は同じ薩摩において複雑に絡み合いながら存在しているものなのですね。

ということで、ここでは鯉登少尉の自顕流について語っていきます。
まずは稽古から。

幕末当時、他流派の道場では、剣術もさることながら門下生の人間性を成長させる要素も大きかったようで、稽古では最初と最後に礼をし、現代の剣道のように相手と対面して行います。
しかし自顕流は稽古でも実際の敵と相対した時の心境になることを求められるため、基本的に一人稽古。
木刀を持って相対するということは=死を意味する、という稽古からして実戦向け。防具はもちろんありません。
猿叫をあげながら朝夕木刀を何千回と素振りをするらしく、大変な精神力と気力が求められます。
そして人目を避けて稽古するようにならなければ本物ではないと言われているのだとか。(見られたら「見せもんじゃなか!」と怒る)

構えは、刀を頭上に構える守る気一切ない構え方。
初太刀にすべての気迫を込めて降り下ろす一撃必殺の剣法です。
そして地軸の底まで降り下ろせという教え。

薩摩の初太刀ははずせ、でおなじみの近藤勇の流派は天然理心流というものですが、この天然理心流だって木刀三本持って稽古する力勝負の流派で、蹴りや目潰しもやる実戦特化型。(土方おじいちゃんも永倉おじいちゃんもこの流派の使い手です。)
幕末において、そんな天然理心流の使い手をも恐れさせたのが自顕流なわけです。
凄いですね。

ーーーーーーーーキリトリーーーーーーーー

と、剣術語りはここまで。
話を音之進にシフトします。

上記のように凄まじい精神力を要する自顕流、それを抜き様に首切れるほどの使い手になるって、音之進は相当過酷な稽古を積んだんだろうなと推測できます。(一閃必殺の「抜き」は自顕流の技の一つです。)

自顕流は並大抵の努力では会得できない剣術です。
音之進は身体能力が半端ないから元々器用な天才型ではあると思うんだけど、それでも血のにじむような努力をしたんだろうなと。
一人で黙々と稽古していたんだろうなと。
そしてきっと音之進はそれをなんとも思ってないというか、当たり前だと思ってきたんじゃないかなと思ってます。
なにせ薩摩隼人ですからね。
男らしすぎるよ音之進。

筆者、音之進の単純で精神年齢ひっく!ってとこすごく好きなんですが(樺太で杉元にワインかけるところがかわいくていいよね。ベベッつって。)、
自顕流を知れば知るほど、本当に音之進はその子どもっぽさと裏腹に、やる時はやる気迫と覚悟を持ち合わせている鋼の精神力の持ち主なんだなぁと思うわけです。
音之進はその二面性が魅力ですね。
努力家な音之進、素晴らしいね!


というわけで、鯉登少尉の周辺環境を語るシリーズ、今回は自顕流でした。
あー書いてて楽しいこのシリーズ…(笑)
読んでて楽しいですか?楽しくはなさそうだな…どこまでも俺得な感じですみませぬ。


今回は参考文献つけときます。他にもホームページや色々新選組関連の本や色々寄せ集めの知識ではありますがそこはまあ割愛いたしまする。
とてもおもしろい本でした。
・島津.義秀『薩摩の秘剣 野太刀.自顕流』新潮社、2005年。


音之進シリーズ第1弾はコチラ↓
mochikuchen.hatenablog.com